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【分かりやすい】詳しいビットコインガイド

ハーシュ・マウリャ 更新日 2024年11月19日 上級技術エキスパート

ほとんどの人はビットコインのコンセプトや流れを理解していません。この詳しいガイドでは詳しいポイントをわかりやすく解説します。

ビットコインについて聞いたことがありますか?

ビットコインは急速に人気が増しておりメディアでも頻繁に取り上げられているので質問するまでもないでしょう。だからと言って皆がその意味を理解しているとは限りません。

実際、ほとんどの人はビットコインについて理解していません。技術が複雑なので怖い感じがするからでしょう。

このガイドの意図はブロックチェーンやビットコインなどに関する詳しい事項を分かりやすく説明することです。これは長いガイドなので読みやすいように小さい項目に分けました。

ビットコインやブロックチェーンのコンセプトの説明にはたくさんの用語が登場します。素早く確認できるように以下の用語集をご覧ください。

1. ビットコインの生まれた背景

A. ビットコインを発明したのは?

ビットコインはナカモトサトシという仮名を名乗る匿名の人物によって発明されました。2008年に白書を出版し、暗号のコミュニティーの間に流通させました。

2009年にナカモトはビットコインソフトウェアのコードを完成し、オープンソースコミュニティーの仲間を呼び協力してもらいました。

2009年1月3日に最初のブロックをマイニングしました。公共にアクセスできるビットコインアドレスの記録によると、現在彼が所有しているビットコインの価値は190億ドル相当で、世界で44番目にお金持ちな人ということになります。

しかし現実ではナカモトサトシが誰なのか誰も知りません。ジャーナリストによって数多くの捜査が行われ、学生やセレブなどだといううわさがありますが、証明されていません。馬鹿らしいと思うかもしれませんが、ナカモトサトシは実は未来からの人だという人もいるほどです。

しかし間違いないのはビットコインを発明したことでナカモトサトシはお金という概念に革命をもたらし、従来的なお金を利用することで発生する多くの問題を解決したということです。

B. 従来的なお金の問題

ATMからお金を引き出す方法やガムの買い方は皆さんもご存知ですよね。しかしこのような取引がなぜ成立するか本当に理解していますか? 貨幣という名の金属の塊や紙切れの価値を皆が認識しているのはなぜでしょう?

一般的に通貨は金などのモノに割り当てられています。ですから1900年に金の価値は1オンスにつき20.97ドルでした。つまり、アメリカ政府は1オンスの金がないと20.67ドル相当のお金を造幣する許可が下りないということです。また、アメリカの通貨を持っている人はその金額をアメリカ政府にもっていけば1オンスの金と交換できるということです。

アメリカではこのようなシステムは1971年に終了しました。その時、アメリカドルは不換紙幣となり、価値がなくなったということです。最近では世界中の主な通貨はすべて認可システムに変換されています。

このようなケースでは通貨の価値は需要と供給によって決定され、人が経済を信用していることで保たれています。これにより、政府が信用の供給、流動資産、金利などの調整により経済を安定することを推進できるようになります。その反面、政府が必要以上に造幣する危険性もあります。こうなるとハイパーインフレーションの原因となります。

不換紙幣のもう一つの問題ははこのシステムは集中されているためたくさんの規制が必要だということです。つまりすべての取引が正しく行われるためには銀行やクレジットカード会社などの金融組織の促進が必要ということです。ATMは銀行が所有しているのではない理由はそのためです。また、友達の口座に送信するときに手数料がかかるのもそのためです。

分散型通貨についてはこの記事をお読みください。

C. ビットコインは集中化された通貨の問題を解決します

ビットコインは不換紙幣にある問題を解決することを目的としています。

ビットコインを使えばたった数秒で手数料がほとんどかからないで送金できるのです。この理由はビットコインが分散されているからです。

要するに、ビットコインはすべての取引が記録される分散型元帳なのです。この元帳はブロックチェーンと呼ばれる技術を使って実用化されています。ブロックチェーンの各ブロックは一連の取引を示しています。各取引が完了するとブロックが完成し変更することはできません。

この公共の元帳を使ってビットコインは以下のような問題を解決しようとしています。

  1. 非中央化:ビットコインの最も重要な特長は非中央化しているということで、つまり一つの組織や人物によって制御されていないということです。ソフトウェアのコードはオープンソースでボランティアによって維持されています。システムは世界中に点在するコンピュータのオープンネットワークによって稼働されています。参加したい人はだれでも参加できるということです。
  2. 匿名性:従来的な経済システムとは違いビットコインソフトウェアはあなたの正体を知る必要がありません。あなたを特定するのはビットコインアドレスです。金銭の取引ができるかどうかはアカウントに十分な資金があるかに左右されます。
  3. 不変性: ビットコインネットワークとその基礎となるブロックチェーンは不変 です。つまり、取引が成立したらそれを元に戻すことはできないということです。そのため送信された人は確実にお金を受け取ります。これは買い手の保護が必要な電子取引の場で問題になると思うかもしれませんね。しかしビットコインでもエスクローアカウントによって解決されます。
  4. 供給に制限がある:従来的な不換紙幣は連邦準備銀行が造幣を制御しているので供給に制限があります。しかしビットコインの数も2100万までしか生産できません。通貨の価値は需要とその価値に対する見方に左右されます。

ではビットコインの基礎となる技術について説明していきましょう。そのためには非集中型通貨を構築するのに関する問題とビットコインシステムがそのような問題をどのように解決するか見る必要があります。

2. ビットコインプロトコル

A. ビットコインはデジタル署名によってユーザーを認証します

取引をするために銀行に行くと自分の身元を認証する必要があります。運転免許証や印鑑、手書きの署名などを使うことでしょう。どの方法を使ったとしても、あなたのお金を引き出したり送金したりできるのはあなただけだということを保証するためにあるのですよね。誰かがあなたに成りすましたら発見される(はず)なのです。

以上で説明した通り、ビットコインは公共元帳を利用しています。世界中の人の取引が記録されます。しかし悪意のある人の取引を追加するのを予防することはできるのでしょうか? 例えばボブがアリスに送金してもらったことを追加してしまうことはできないのでしょうか?

このような事態を予防するために、取引はデジタル署名とともにネットワーク中に公開されます。

デジタル署名は2つのことを保証します。

  1. メッセージが真の送信者から送信されたこと。
  2. メッセージが外部者から変更されていないこと。

デジタル署名はハッシングアルゴリズムと非対称暗号化で作成されています。

ハッシングとは入力したものを特定の長さで不可逆的に出力する変換アルゴリズムです。ビットコインに採用されているハッシングアルゴリズムはSHA256でハッシュまたはダイジェストと呼ばれる出力は256桁の2進数となります。

ハッシングは入力を素早く出力値に変換する数学的な方法ということもできますが、出力値から入力値を割り当てるのは実質的に不可能なのです。

これを例えにして説明しましょう。入力が「小麦粉、砂糖、卵など」で出力が「ケーキ」だとしましょう。アルゴリズムは生の材料を加熱するオーブンです。ケーキが完成したら、それを材料に戻すことは不可能です。また、材料が何でどれくらい使われたのか割り当てることもできません。

デジタル署名を作成するためにはネットワークに発信されたメッセージをハッシングする必要があります。また、そのハッシュは暗号化される必要があります。

以上で説明した通り、ビットコインに採用されている暗号化は非対称暗号化です。この種類の暗号化やパブリックキーとプライベートキーと呼ばれるものと利用しています。

その方法は、人はそれぞれパブリックキーとプライベートキーを有していて二つのキーは一致します。両方ともメッセージを暗号化するために利用することが可能ですが、解読するためにはもう一方を使う必要があります。つまり、パブリックキーを使って暗号化したらプライベートキーで解読する必要があるということです。プライベートキーで暗号化したらパブリックキーで解読します。

プライベートキーは一人の人が所有しているので他の人はアクセスできません。それに対してパブリックキーは誰にでも渡せます。アリスがボブにプライベートメッセージを送信したいと仮定します。アリスはボブに渡された彼のパブリックキーを使ってメッセージを暗号化します。プライベートキーはボブしか持っていないので彼しか解読できません。ボブがアリスにプライベートメッセージを送りたい場合、彼は彼女のパブリックキーを使って暗号化し、彼女はプライベートキーを使って解読します。

ビットコインの場合、目的はプライベートメッセージの送信ではありません。元帳は公共だということを思い出してください。それでも非対称暗号化はすべてのメッセージが思い通りの人に届くようにしてくれます。また、メッセージの内容が変えられないようになっています。

ではアリスがボブにビットコインを送りたいと仮定しましょう。そのためにはネットワークに2つのことを知らせる必要があります:

  1. 取引の詳細を含むメッセージ。取引は未暗号化状態であり、過去の取引への情報が含まれています。また、入力値と出力値が含まれているので、取引が成り立つために必要な残高があるかどうか決定されます。
  2. デジタル署名(彼女のプライベートキーで暗号化されたというハッシュメッセージ)

ボブは以下のようにして取引を認証します:

  1. ハッシュアルゴリズムをメッセージに適用すること。これによって彼にはハッシュAが残ります。
  2. アリスのパブリックキーを使ってアリスの作成したデジタル署名を解読すること。これで彼にはハッシュBが残ります。

両ハッシュとも同じメッセージから由来しているため、一致しているはずです。ハッシュが一致した場合、メッセージが変更されていないことが確認できます。ボブはアリスのパブリックキーを使ってハッシュメッセージを解読でき、アリスしかプライベートキーにアクセスできないので、このメッセージは彼女から送信されたものだと分かります。

B. ビットコインが情報を保存している方法

ビットコインのような非集中型ネットワークのもう一つの問題は保存先です。

世界中の人の残高や取引履歴をどこに保存したらいいのでしょうか?

従来の集中型システムでは銀行などの金融組織の所有・管理する独占サーバーにすべてのデータが保存されていました。このデータは非常に安全で機密であるはずですが、近年ではこの情報にハッカーがアクセスできてしまった事例が複数あります。

ビットコインのシステムでは1つの組織がデータを制御しているということはありません。すべての情報が公開されているということです。

ビットコインはピアツーピアの分散型ネットワークを採用することで可能にしています。データは参加しているノードと呼ばれる何千ものコンピュータに分散されています。ノードはインターネットを介して繋がっています。各ノードは元帳(ブロックチェーン)にアクセスでき、これは新しい取引(ブロック)が行われるたびに更新されます。

このような取引はビットコインプロトコルと呼ばれるルールに従って行われます。

C. 取引の流れ

アリスがボブに1ビットコイン送金したいと仮定しましょう。

まず、アリスが1ビットコイン所有していることを確認する必要があります。ブロックチェーンネットワークではある人の残高を見られる単一のエントリーは存在しません。その代わり、残高は過去のすべての取引を計算することで得られます。これは取引チェーンと呼ばれています。

初めてビットコインソフトウェアをダウンロードしたとき、完全版の取引チェーンのコピーを受け取ります(ダウンロードが完了するのに24時間かかることもあるのはそのためです)。取引チェーンを入手したら簡単にアリスの残高を割り出すことができます。

取引を完了するためにアリスが十分にビットコイン残高を所有していることが確認されたら、次のステップは取引メッセージを告知することです。このメッセージには送金者と受取人のアドレス、取引金額、送金者の作成したデジタル署名の情報が含まれています。公共に告知するとネットワーク内のノードはメッセージをリレーして実行に移されます。

実行される前に取引は未認証の取引のプールに追加されます。このプールをMempool(メモリープール)と言います。ここからマイナーに収集されます。マイナーとは取引を有効にする仲裁人と考えていいでしょう。これについては以下で詳しく説明します。

取引が有効になるとマイナーは最新のブロックに取引を追加します。ブロックは一定の大きさなので一定数の取引後は新しいブロックが作成される必要があります。現在のブロックは前のブロックとつながっているのでブロックチェーンが形成されるのです。

では最新のブロックにどの取引を追加すればいいのかを決めるのは誰でしょう?

一般的にマイナーはどの取引をつなげるか自由に選ぶことができます。あなたの取引を選んでもらうために取引額の一部を彼らに支払うことができます。しかしこのような支払いは必ずしも必要というわけではありません。マイナーにはブロック報酬と呼ばれる、ブロックを作成すること自体が動機となって活動しているからです。

新しいブロックがチェーンに追加されるたびにそれを提出したマイナーは新しいビットコインという形で報酬を受け取ります。時がたつにつれてどれくらいの金額が支払われるか変わります。ネットワークが大きくなるにつれて金額が低くなっているのです。ブロック報酬は新しいお金を造幣する自然な方法なのです。

取引がブロックチェーンの一部に加わった時、取引は公式に実行されたことになります。

D. ブロックが有効化される方法

以上で新しく認証された取引がどのようにブロックに追加されるか、既存のブロックチェーンにどのように追加されるか分かりましたね。では新しい取引が本当に有効であるとどうして分かるのでしょうか?

マイナーは「仕事の証拠」を実行する必要があるのです。

要するに、仕事の証拠とは最も信ぴょう性のある元帳は最もたくさん計算作業が行われたものだという考えに基づくものです。仕事の証拠は難しく時間がかかり、且つ簡単に素早く有効化できるデータである必要があります。

その方法はデジタル署名の項で説明したハッシング技術を応用しています。ハッシュは一定の長さの出力を作成するために入力にアルゴリズムを適用することで作成されます。

ここでマイナーは既存のブロックチェーンにブロックを追加するために数学的なパズルを解決する必要があります。このパズルは解決するのに時間がかかります。つまり、一定数のゼロのつくハッシュを当てるために入力値を推測する必要があるのです。

以下のような仕組みになっています。

マイナーがブロックに取り組んでいることを想像してください。ブロックの一番上にはブロックチェーンの最後のブロックのハッシュがあります。その下にはマイナーが拾ったすべての取引があります。その下にマイナーはノンス(Nonce)と呼ばれる数字を追加します。マイナーはここでブロック全体にハッシュアルゴリズムを実行します。

以上で述べたように彼の目的は一定数のゼロで始まるハッシュを割り当てることです。先ほど説明した通り、入力が少しでも違うと、出力は全く違うものになります。つまり、一定数のゼロを得るために一番下に入れられる数字は定められているのでそれを突き止めなければならないということです。では、マイナーはどのようにしたらその数字が分かるのでしょうか?

分からないのです。

数字を突き止めるためには、正しいハッシュに出会うまで異なる数字を無作為に推測する必要があるのです。一番に正しいハッシュを突き止められたマイナーがブロックチェーンにブロックを追加できるようになります。

ビットコインプロトコルによると、この作業が完了するまでに約10分かかります。新しいマイナーが次々に参入しており、それぞれの計算能力には差があるため、必要になるゼロの数は定期的に変更されています。

この手順では新しいブロックがチェーンに追加できるだけでなく、もう一つの重要な機能も果たしています。システム全体が完全な状態であることを保証するとともにセキュリティーも保証されます。

どうしたらそうなるのでしょうか?

各ブロックには最後のハッシュがヘッダーとして含まれているため、数字が一つだけでも変更された場合、ブロックのハッシュだけでなくチェーンに含まれているすべてのブロックに影響が及ぶということです。

つまり、誰かが取引を変更したい場合、それ以前に取引すべてを再計算する必要があり、それを成し遂げるために必要な計算能力を有することは不可能なのです。また、新しいブロックがチェーンに追加されるたびに、ブロックチェーンの安全性が増すということです。

E. 仕事の証拠が2回支払いするのを防ぐ?

アリスはビットコイン決済に対応しているネットショップを開いています。ボブは彼女のウェブサイトを訪問してiPhoneを注文しました。ボブがビットコイン決済を選択した場合、アリスはもちろん支払いが確認されるまでiPhoneを発送しません。

しかしブロックチェーンの仕組みのため、ボブは同じ署名のある2つの取引メッセージを送信してシステムを悪用しようとするかもしれません。1通はアリスに送金するというメッセージで、もう1通は自分自身の別のアドレスに送信するということです。

アリスが彼女宛てに送信するというメッセージを見たら商品を発送するでしょう。しかしアリスとの本当の取引の前に、ボブ自身宛ての取引が認可されてしまったら、ボブにお金が送られてしまい、iPhoneを無料で受け取ってしまうことになります。

アリスが賢ければ取引が告知されたすぐ後にiPhoneを発送しなかっただろうと思うでしょう。ブロックチェーンに追加されるまで発想を保留すべきだったのでしょうか?

実際はそれだけでも不十分です。

その理由は1つ以上のブロックが同時に追加されてチェーンにフォークが現れる(チェーンが分岐される)ことがあるからです。この場合、ブロックを終了した次のマイナーはどちらの分岐に追加するか決められるのです。すぐに一方の分岐が長くなっていきます。短い方は放棄され、そこに追加された取引はMempoolに戻されます。

そのため、チェーンに6つのブロックが追加されるまで取引が成立したと見なさないことが推奨されています。最近ブロックチェーンに追加された取引はホット取引と呼ばれることもあります。

このことからも仕事の証拠(追加で計算作業をすること)が取引を保護するということが分かるでしょう。

ではもう一つのシナリオを見てみましょう。ボブが2つの分岐を作成できた場合、一方には正当な取引が含まれていて、もう一方には偽の取引が含まれているとします。偽の取引と正当な取引は別のマイナーによって同時に追加されたとしましょう。アリスは正当な取引の方が伸びていることを見て取引が成立したと思いこみ、iPhoneを発送します。しかしその後、ボブのチェーンが伸び、正当な取引の方がMempoolに送り返されてしまいます。偽の取引と同じデジタル署名なのでもう一度拾われると無効とみなされてしまうのです。

実際に起こりうる興味深いシナリオです。

しかし現実には不可能です。

その理由はブロックを解決し追加するには大きな計算能力と時間がかかるからです。非常に強力なプロセッサーでもこのような悪事を行うためにボブはビットコインネットワークの半分以上のCPUを独占する必要があります。そのため、このコンセプトは51%攻撃とも呼ばれています。

現実的には正当な取引の方が長くなり、偽の取引はMempoolに戻されます。他のマイナーに拾われるまでにこのデジタル署名はすべて使用されているので無効とみなされるのです。

それでも、ボブがネットワークをどうにかして制御した場合、システムを悪用するのにかかる時間と労力は無駄になります。ルールに従ってビットコインのマイナーとして活動した方が利益になるからです。

3. ビットコインの利用方法

ビットコインを利用する方法はたくさんありますが、原則としてすべて同じ手順を踏みます。ビットコインを利用するには3つのステップがあります。ビットコインを入手すること、ウォレットを管理すること、ビットコインを商品やサービスと引き換えることの三つです。では一つずつ見ていきましょう。

A. ビットコインを入手する

ビットコインをマイニングするほかには(これについては第2項で説明しました)、ビットコインを購入することができます。これはネットの交換所で行うか、窓口で取引するかという2つの方法があります。

窓口での取引はもう一人の個人と行われるもので、一般的に交渉を管理する仲買人と行われます。大量(何百万ドル相当)のビットコインを購入したい場合にはこの方法が好まれます。交換所はこのような多額の取引を行う流動性がないからです。

窓口での取引は交換所のように規制はありませんが、評判の良い仲買人は詐欺が起こらないようにしています。このような仲買人は中国のリッチファンド、ニューヨークのジェネシスグローバルトレーディング、ロンドンのビットストックスが含まれます。

一般のビットコインユーザーはCoinbase、Coinmama、itBitなどの交換所が最も安全で簡単にビットコインを入手できる交換所です。海外の交換手数料を避けるためにはあなたの国の交換所から購入するのがベストです。この場合、一般的に地元の銀行と統合することが可能です。

交換所はとても簡単にナビゲーションできます。ウェブサイトを訪問して登録手順に従えば直ちにビットコインを購入し始めることができます。

重要なのはほとんどの交換所では名前、メールアドレス、電話番号などの個人情報が必要だということです。もちろん、ビットコインを購入するためにクレジットカードまたは銀行振り込みを利用する場合、その情報も交換所に提供する必要があります。

交換所を利用する場合、ビットコインの売買はこの時点で匿名性がなくなります。

B. ウォレットの管理

ビットコインネットワークではビットコインを所有するということはアドレスとプライベートキーを所有するということです。以上で説明したように、このプライベートキーを使ってデジタル署名を暗号化できるのです。

プライベートキーがないとビットコインにアクセスできませんし、そのビットコインがあなたのモノであることを証明できません。ですから安全なところに保存しておく必要があります。

ビットコインアドレスを発行してもらった時にプライベートキーを受け取ることになります。キーは256ビットという長さのデータで、英数字で表示することもできます。例えば16進数で利用することもあります。つまり0~9またはA~Fまでの64文字で表示する形式です。最も一般的な方法はウォレットインポートフォーマット(WIF)です。これは51桁の英数字で、最初の文字はいつも5です。

以下にWIFの例をご紹介します。

5KJvsngHeMpm884wtkJNzQGaCErckhHJBGFsvd3VyK5qMZXj3hS

プライベートキーを失うことはビットコインを失うことと同じです。プライベートキーをなくしたらビットコインには手を付けられません。同じように、他人にプライベートキーが知られた場合、あなたのビットコインをすべて引き出されることもあります。

プライベートキーとコインを保護するためにはどうしたらいいのでしょう?

その方法の一つはコインをオフラインで保存することです。つまりコインとプライベートキーをUSBドライブに保存することで攻撃やハッカーに情報を盗まれないようにすることができます。しかし、そのドライブをなくした場合、または物理的に盗まれた場合、どうすることもできません。

もう一つの方法はビットコインウォレットを提供しているサードパーティのプロバイダ(クライアント)にビットコインを預けることです。この種類のソフトウェアはビットコイン取引のすべてのアドレスとキーを保存してくれます。

しかし最近では多くの攻撃が仮想通貨交換所をターゲットにしているのでこのような方法でキーを保管するのはやや危険です。オススメの方法はオフラインでキーを保管することです。

C. ビットコインを使った取引

ビットコインで取引するのはとても簡単です。特定の人物に送金したいならその人のビットコインアドレスが必要なだけです。アドレスをビットコインクライアントに入力するだけで送金できてしまいます。送金する相手があなたと同じクライアントを利用しているならアカウントに統合しているメールアドレスを入力するだけで送金できる場合もあります。

ビットコイン決済に対応しているオンラインビジネスは一般的にクリック一つで自動的にウォレットにアクセスできるようになっており、そこから支払うこともできます。モバイル端末にウォレットがインストールされている場合、QRコードを携帯でスキャンすることで支払うこともできます。

4. 仮想通貨でお金儲けをする方法

ブロックチェーン技術は全く新しいものでお金儲けに応用する方法は主に2つに分けられます。マイナーになることか、投資することです。

A. マイナーになる

マイニングは遅いですがビットコインをはじめとする仮想通貨で確実にお金を儲けるための方法です。説明した通り、マイナーは報酬を目的に取引を有効にするネットワーク内の人たちです。ビットコインに関しては2つの報酬があります。新しいブロックを追加することで得られる報酬と、特定の取引を拾うことで得られる報酬です。

異なる仮想通貨はマイナーへの報酬の方法が異なります。取引手数料のみを支払うものもあれば他のいろいろな方法を利用することを動機づけるものもあります。マイニングにはCPUをネットワークに寄付することで参加できます。

CPUには電力がかかるためマイニングからどれくらいお金を設けられるかとそれに伴うコストを比較する必要があります。どの国に住んでいるか、電力料金がどれくらいかに左右されるでしょう。中国は電力の料金がかなり低いため、ほとんどのマイナーネットワークは中国に住んでいます。

他の検討するべきポイントはあなたのハードウェアのハッシュ能力と現在のビットコイン価格です。

マイニングを真剣に検討している人はハッシュ率の高い特性ハードウェアがあり、ブロックを解決する確率を高めるのに役立ちます。ASIC(特定用途向け集積回路)はこのような端末の一般的な名称です。ASICと安価な電力を使えばマイニングで利益を上げることができる可能性があります。

個人マイナーかCPUを共有するマイナーグループの一員になることができます。後者はマイニングプールと呼ばれており、ハードウェアがあまりないという場合に便利です。マイニングプールではメンバーはCPUの貢献率によって報酬を受け取ります。ビットコインマイニングに関しては以下のプールがよく知られています。

  1. Bitfury – グルジアのグループ
  2. BTC.com – 中国のグループ
  3. Slush – チェコ共和国のグループ

他の仮想通貨に関しては参加する価値のあるグループを探す必要があります。一般的にこのようなプールは通貨に人気が出てきたときに作成されます。

B. 仮想通貨に投資する

直接投資は仮想通貨でお金儲けするのに素早くできるがリスクの高い方法です。マイニングする時間と資源がない場合、交換所から通貨を購入することができます。ビットコインは過去数年間で多大な利益を上げているため、多くの投資家に注目されています。

いつでも仮想通貨を手に入れることはできますが、最も利益(または損失)の可能性が高い時期があります。ICO(Initial Coin Offering:新規コイン公開)の期間中です。株式投資に詳しい人はIPO(新規株式公開)に似ているとも言えるでしょう。

ICOは仮想通貨が世界に初めて公開され、まだ価値がついていないときの企画です。この期間中、投資家はその価値を判断し、プロジェクトに投資する価値があるか見極めます。プロジェクトが導入され人気が上がるとコインの価値が上がり、投資家の利益につながるということです。

ビットコインを購入して、その後衝撃を受けた事例を紹介します。

  1. 2009年に暗号化について研究していたノルウェーの学生が約27ドルで5000ビットコイン購入し、その後、忘れてしまいました。4年後ビットコインに注目が集まった時、購入したことを思い出したこの学生は価値が886,000ドルに膨れ上がったことに驚きました。その半分を売却しオスロの高級地の家を買うのに使いました。現在の為替では残ったビットコインの価値は2800万ドルです。
  2. 2010年5月22日、コンピュータプログラマーのラズロ・ハニェツはビットコインを使って2つのピザを買いました。10,000ビットコインを支払い、当時は41ドルの価値しかありませんでした。しかし現在の為替ではこのビットコインは6700万ドルの価値があり、そう考えると、彼は世界で一番高価なピザを購入したことになります。インタビューではラズロ氏は当時はビットコインにはほとんど価値がなかったので、ものを買えたことだけでも感激したそうです。
  3. ジェームズ・ハウウェルはニューポートのITエンジニアです。2009年からノートパソコンを使ってビットコインをマイニングし始めました。7500ビットコインを稼いでから活動を停止しました。その後、eBayでパソコンを売ったのですが、その前にビットコインのプライベートキーが保存されていたハードドライブを回収しました。価値が上がってからビットコインを現金化するためにハードドライブを引き出しにしまっておいたのですが、数年後、大掃除をしている際にハードドライブが捨てられてしまいました。失ったビットコインの価値は8500万ドルです。彼は埋め立て場で探したかったのですが、お金がかかり複雑な作業であるうえ、環境の懸念があり危険なガスが放出される可能性があったので行われませんでした。

以上のような話があり、ビットコインの価値は劇的に上がっていますが、投資家は仮想通貨の価値は大幅に上昇するとともに下降することもあることを念頭においておく必要があります。例えば過去6カ月のうちにビットコインの価値は大きく上がり、急降下したのです。

仮想通貨は一般的に価格の上がり下がりが激しいものです。ビットコインの価値が過去に劇的に上昇したからと言って、将来的にそうなる保証はどこにもありません。

私たちのアドバイスは失う覚悟のないお金以上を投資するのはやめた方がいい言うことです。大幅に利益を上げられると思って多大なお金を投資するのはいけません。幸運に見舞われる可能性はありますが、価格が一気に下降した場合にすべて失うというリスクは避けるべきです。最新のビットコイン価格は当社のビットコイン計算機から見ることができます。

5. ビットコインは合法ですか?

ビットコインの人気が増すにつれ、仮想通貨は政府や金融規制機関から注目を浴びています。違法である偽造紙幣とは違い、ほとんどの国でビットコイン自体は合法です。

しかしビットコインは匿名で規制されていないため、多くの政府はこの仮想通貨の使用を制限しています。ビットコインなどの仮想通貨のせいで政府の経済への支配力がなくなることを懸念する人もいます。

ほとんどの国は仮想通貨の使用に関して明白な法律がないため国民はその立場について混乱しています。ですからビットコインの合法性についてあなたの国の法律があるか、その内容は何かを確認することが最善策でしょう。また、このような法律は変更される可能性があることも念頭においておきましょう。

ビットコインの所有はアルジェリア、コロンビア、ネパール、バングラデシュなど他にも数か国で違法です。それに対してアメリカではビットコインは合法であるだけでなく、CFTC(商品先物取引委員会)によって商品として見られています。税金に関しては他の資産と同じように扱われます。

インドなど多くの国ではビットコインはあいまいな立場にあります。政府は違法だと検討していないものの、利用を思いとどまるように注意を呼び掛けています。

当たり前ですが、ビットコインを違法な商品やサービスの購入には利用してはいけません。通常の通貨で購入するのが以上ならビットコインでの支払いも違法です。もちろんその他の仮想通貨での支払いも違法です。

6. ビットコインの裏側

以上で説明したように、ビットコインにはたくさんのメリットがありますが政府の警告には納得する点もあります。

メディアからの注目と市民ビットコインに対する期待を悪用する人が存在するからです。例えば投資することで非現実的な利益を上げられるという投資詐欺をしているサイバー犯罪者があります。お金が無くなってからでないと詐欺被害に遭ったことに気づかない利用者が多いです。そのため多くの政府は投資する際は慎重に行い、疑ってかかるよう注意を喚起するキャンペーンを行っています。

仮想通貨が悪用されている場面は他にもあります。

  1. ビットコインが匿名であることと簡単に送金できるという理由から、テロリストグループは独自のビットコインアドレス宛に資金を募るキャンペーンをソーシャルメディアで行っています。過去には大して成功しなかったものの、今後成功する可能性があります。ただし、匿名性はブロックチェーンネットワーク内に限られています。ビットコインが他の通貨に変換された時点でIPアドレスを使って身元と取引を特定することができるからです。また、ブロックチェーンの取引はすべて公共の情報なので、お金の流れを探るのは簡単です。
  2. 2017年5月12日、ワナクライ攻撃と呼ばれる巨大なランサムウェア攻撃が世界中で発生しました。このマルウェアは被害者のコンピュータを制御して、事態を元に戻すためにお金を要求してのです。使用されたランサムウェアは新しいものではありませんでしたが、要求した通貨はビットコインだったのです。このためビットコインには悪い印象が定着してしまいました。ランサムウェアやマルウェアに関して詳しくはこちらの記事をお読みください。
  3. ビットコインを盗むネット詐欺が多発しています。一般的なネット銀行は複数の保護体制を構築しています。例えばパスワード、二要素認証、ワンタイムパスワードなどです。ビットコインに関してはプライベートキーがあるだけで全てのビットコインを盗むことができてしまいます。詐欺の加害者はキーロガー、トロイの木馬攻撃、フィッシング攻撃などを使って人のコンピュータからこのようなキーを盗みます。そのため現金と同じくらい慎重にビットコインウォレット保護することが重要です。もう一つの種類の詐欺は特定のネットショップで発生しています。商品が大幅に安くなっていることを宣伝し、ビットコインしか決済方法として対応していないというものです。買い手が支払った後、売り手は非常に質の悪い商品を発送したり、全く商品を発送しないこともあります。ビットコインでの支払いは元に戻すことができないので、返金してもらう方法はありません。
  4. もう一つの詐欺方法はICO(新規コイン公開)です。仮想通貨市場は規制されていないので詐欺のブロックチェーンプロジェクトを開始する人もいます。革新的な技術を約束し投資家の注目を集めて資金を募るのです。しかし実際にプロジェクトを開発するのではなく、ただ単に成功しなかったと言い資金を自分のものとしてしまうのです。簡単に破産を宣告でき、また、投資するということは損する可能性を承知しているということなのでこのようなプロジェクトに投資するときに身を守る方法はなかなかありません。きちんとしたICOもたくさんありますが、そのようなICOと詐欺を見極めるのは困難です。ですから新しいブロックチェーンプロジェクトに参加することを検討しているならかなり注意する必要があります。

7. ブロックチェーンの応用

ビットコインはブロックチェーンを初めて大規模な形で実用化した事例です。しかしそれ以来、このシステムを利用する方法がどんどん増えています。

A. 仮想通貨

ブロックチェーンを利用してビットコインのような新しい仮想通貨が開発されています。新しい仮想通貨はビットコインを改善したより良い通貨だと宣伝しており、まとめてアルトコインと呼ばれています。主要なアルトコインには以下のようなものがあります:

  1. Litecoin: Litecoinは2011年に登場したもので、ビットコインと若干違いがあるという程度です。ビットコインは10分おきにブロックを形成するのに対してLitecoinは2.5分おきに形成します。つまり、取引がより早く認証されるということです。もう一つの違いはハッシングアルゴリズムです。ビットコインは仕事の証拠にSHA256を採用しているのに対してLitecoinはscryptを採用しています。Scryptの特徴の一つはパズルをより早く解くのに最適化されたCPUやGPUを開発するのが難しいことです。マイナーに公平ということです。それでもLitecoinをマイニングするのに利用できるASICSは登場しています。
  2. Zcash: Zcashは2016年に登場しました。ビットコインのように分散された元帳経由で安全な取引を提供しています。しかしZcashの違いはzk-SNARKと呼ばれる異なる仕事の証拠アルゴリズムを採用していることです。また、プライバシー方針も異なります。ビットコインシステムでは送金者、受取人、金額の情報がすべて公開されているのに対してZcashではこのような情報はプライベートのままで隠されます。2017年末までにZcashな10億ドルという時価総額を突破しています。
  3. Dogecoin:  Dogecoinは実は仮想通貨マニアに対して冗談として開発されたものなのです。コインのデザインは人気インターネットミームの犬の顔です。このコインはビットコインと全く同じで違いはありません。冗談で開発されたものだからです。最初はこのコインの価値は非常に低かったですが、急激に価値が上昇し、投資家の注目を浴びています。最近20億ドルという時価総額に到達しました。開発者はこのコインが風刺のために開発されたのに本当にビットコインのように人気が出てしまったことに不満を抱き、プロジェクトから脱退しています。また、Moolah というDogecoin交換所の所有者、ライアン・ケネディーが詐欺で逮捕されたことでも価値が大幅に下がりました。しかし2018年1月には価値が上昇しています。

B. 通貨以外での応用

以上で述べたようにブロックチェーンシステムは仮想通貨以外でも応用できます。何億ドルもの価値のある興味深いアイデアがたくさんあるのです。

  1. Ethereum: ビットコインのお金に対する関係とEthereumのアプリケーションとの関係は同じです。つまり中央サーバーなしでアプリが動作するためのインフラを提供してくれます。ビットコインのようにインターネット中のノードに頼っています。Ethereumの場合、ノードはアプリが作動するのに必要なCPUを提供しているのです。悪用や低品質のアプリを排除するためにEthereumではアプリがetherという通貨を使う必要があります。Ethereumネットワークで開発されたコードはEthereumバーチャルマシンというソフトウェアによって稼働されています。デベロッパーはスマート契約を使ってアプリケーションを開発し、定義した条件が満たされた時に自動的に実行される仕組みです。例えば、あるスマート契約は支払いを受け取ったら自動的に商品を発送するのです。EthereumアプリはDAP(非中央化されたアプリケーション)と呼ばれ、すでに何百ものDAPが成功しています。このようなアプリの例はデジタル署名に関するものや予測ソフトウェア、電気自動車充電管理、ネットのギャンブルサイトなどです。
  2. Ripple: ビットコインは世間一般のために開発されたものですがRippleは銀行や支払いネットワークを意図したものです。現在銀行はSWIFT(国際銀行間通信協会)というプロトコルを採用していて、このプロトコルは仲介者が必要となっています。このことと、為替が変化することで取引に時間がかかるということになります。Rippleなら多額の費用なしで金融機関がリアルタイムで取引、決済、送金、支払いできるようになります。公式に導入されていないものの多くの銀行によって試験運用されています。Rippleとビットコインの重要な違いは、Rippleは誰でもネットワークに参加できないということです。コンピュータの身元を確認して参加する権限を与えられる必要があるのです。この点では本当に非集中型で公共なシステムとは言えません。

説明した通り、ビットコインにはデメリットもあり、これについては取り組みが必要です。しかしデメリットがあるからと言って利用すべきでないというわけではありません。ブロックチェーンはたくさんの問題を解決する可能性を秘めている革新的な技術です。賢く、正しく利用する責任は私たちにあります。

 

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この記事の執筆者

ハーシュ・マウリャは技術に情熱があり、たくさんのオープンソースの無料ツールを公共に提供しています。仕事をしていない時にはネットワークセキュリティーに関して啓発運動をしており、「ハッキングされないようにする方法」という本の著者でもあります。

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