ノートンはインターネットセキュリティ業界ではとても有名ですが、VPN業界ではトップクラスではありません。しかし、ノートンと言えば、評判が良い国際企業ですよね。そこで今回、実際に試し、お金を投じる価値があるのか検証しました。おすすめのVPNサービスと言えるのでしょうか?
まず、プライバシー方針を検証し、収集している情報とその取扱いについて調べました。次に、通信速度を測定し、どの動画配信サービスのブロックを解除できるのかテストします。また、すべての端末で全機能を試し、情報漏えいテストも行い、全体的な安全性を分析しました。
結論から言うと、ノートンセキュアVPNは多機能とは言えませんが、日本でも安全性が高いサービスです。しかし、サーバー数は比較的少なく、サーバーとの距離によらず通信は遅いのが欠点です。また、トレントもダウンロードできず、アクセスできる動画配信サービスはほんのわずかでした。金盾(中国のグレートファイアウォール)も回避できません。
通信が速く、多数のサーバーがあり、トレントに対応しているVPNをお探しの方はExpressVPNやCyberGhostなどのトップクラスのVPNをご検討ください。
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調査結果のまとめ
- アクセスできる動画配信サービスが少ない
ノートンセキュアVPNがブロックを解除できたのはNetflixとUKTVだけで、Hulu、Disney+、BBC iPlayerの地域制限は回避できませんでした。しかし、地域制限やファイアウォールを回避するために設計されているサービスではありませんから、仕方がないとも言えるでしょう。分析結果はこちら。
- 近くのサーバーでも遠くのサーバーでも、通信が遅い
ノートンセキュアVPNは通信があまり速くないので、動画を視聴したりゲームをプレイしたりしたい場合はおすすめしません。通信速度の測定結果とゲーム中のパフォーマンスに関して詳しくはこちら。
- 個人情報を保護する強力なセキュリティ対策機能がある
ノートンセキュアVPNは最高クラスの暗号化プロトコルを採用しており、安全性が高いのが特長です。セキュリティの分析結果はこちら。
- プライバシー保護が不十分
ノートンセキュアVPNは7種類のユーザーデータを収集しており、本社は5・9・14アイズ同盟(機密情報の共有を合意した同盟)に加盟しているアメリカにあります。収集しているユーザーデータについて詳しくはこちら。
- 中国にサーバーがない
中国にサーバーを設置しておらず、金盾(中国のグレートファイアウォール)を回避できません。中国で利用できない理由はこちら。
- アプリは使いやすい
ノートンセキュアVPNのアプリはとても使いやすく、初めてでも簡単に使い方を習得できるでしょう。すべてのアプリを試した感想はこちら。
- 60日返金保証がある
ノートンセキュアVPNは60日返金保証があり、全機能を試すことができます。他社サービスより返金保証期間が長いのが特長です。返金保証を試したところ、とても簡単に返金してもらえました。
Norton Secure VPNの機能【2024最新情報】
6.0
💸
価格
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1.67 USD/月
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📆
返金保証期間
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60 日 |
📝
VPNはログを記録している?
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なし |
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サーバー数
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3000+ |
💻
ライセンスごとの端末数
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10 |
🛡
キルスイッチ
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あり |
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本社の所在地
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United States |
📥
トレントに対応
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あり |
ストリーミング:ノートンセキュアVPNはNetflixとUKTVのブロックを解除できる
ノートンセキュアVPNがブロックを解除できる動画配信サービスは少ないので、海外の映画やドラマを見たい場合はおすすめしません。まず、ノートンの方針を読んだところ、動画配信サービスの地域制限を回避することには力を入れていないようです。
イギリスとアメリカのサーバーに接続したところ、それぞれUKTVとNetflixのブロックを解除できました。しかし、他の動画配信サービスはVPNの使用を検出してしまい、アクセスできませんでした。
ブロックを解除できるサービス:NetflixとUKTV
ノートンセキュアVPNがUKTVとNetflixしかブロックを解除できないのは残念です。ただし、2つのプラットフォームで動画を再生したところ、遅延やバッファなしでドラマを視聴するのに十分な通信速度でした。ノートンセキュアVPNに接続してアメリカのNetflix限定のCriminal Mindsを視聴できるか試してみました。動画は再生できたのですが、速度が大幅に低下してしまいました。接続前の速度が速くなければ、頻繁にバッファしてしまうはずです。
ノートンセキュアVPNでアメリカのNetflixにアクセスできました
地域制限はかなり厳しいことで知られているNetflixですが、ノートンセキュアVPNはその制限を回避できました。このVPNはハッカーやデータの漏えいの対策のために設計されており、動画を視聴することは想定していませんから、アメリカのNetflixを視聴できたのは感心しました。
UKTVにも簡単にアクセスできました。イギリスのサーバーに接続したところ、UKTVの全コンテンツを視聴できるようになったのです。さらに、通信速度もかなり速く、読み込みに時間がかかったり、画質が落ちたりすることはありませんでした。
ブロックを解除できないサービス:Hulu、HBO Max、HBO Now、Disney+、ESPN+、Amazonプライムビデオ、BBC iPlayer
ノートンセキュアVPNはHulu、HBO Max、HBO Now、Disney+、Amazonプライムビデオ、ESPN+、BBC iPlayerにアクセスできません。日本でもアクセスできない可能性が高いでしょう。
ノートンでこれらのサービスにアクセスできなかったことは不満ではないのですが、HBO MaxとHBO Nowにブロックされたのは、VPN通信を検出されたからではなく、サービス対象地域にいないことが知られてしまったからです。つまり、ノートンセキュアVPNは位置情報をしっかり隠せていなかったのです。データ漏えいが発生したのかもしれないと不安になったため、データ漏えいテストを行いました。.
ノートンセキュアVPNでHBO Nowにアクセスできませんでした。
Hulu、BBC iPlayer、Amazonプライムビデオの場合、状況はそこまで悪くはありませんでした。これらのプラットフォームにブロックされたのはVPN通信を検出されたです。もちろん、アクセスできなかったのは残念ですが、位置情報を隠せたのは良いでしょう。
一方、ESPN+とDisney+は読み込むことさえできませんでした。何度もログイン画面が表示されてしまったのです。
動画配信サービスの地域制限を回避したい場合、ノートンセキュアVPNはおすすめできません。地域制限を回避できないことがほとんどで、サーバーもかなり少ないからです。サーバーが少ないと、動画配信サービスがブロックしたサーバーしか利用できません。
通信速度:サーバーとの距離によらず、通信が遅い
私がこれまで試したVPNの中で、ノートンセキュアVPNは通信がかなり遅いサービスです。VPNに接続すると通信が遅くなるのは普通ですが、20%以上低下するのは理想的ではありません。しかし、ノートンだと速度が著しく低下してしまいます。これ以上遅くなったら映画を再生するのは不可能でしょうし、インタラクティブなサイトも利用できないはずです。
ノートンセキュアVPNの速度を測定するためにOoklaのスピードテストツールを利用して以下の項目を確認しました。
- 応答時間:アクセス先のサイト・アプリが応答するまでの時間。
- ダウンロード速度:インターネットからファイルやデータを受信する速度。
- アップロード速度:メッセージや動画などのファイルを送信する速度。
近くのサーバーの通信速度
ノートンセキュアVPNに接続すると、速度がかなり遅くなりました。
ノートンセキュアVPNで近くのサーバーに接続したところ、かなり速度が低下してしまいました。自動接続機能で現在地に近いサーバーに接続したので、最速の通信になるはずです。
VPNに接続していない状態ではダウンロード速度が35.37Mbps、アップロード速度が36.76Mbps、応答時間が8ミリ秒となりました。ノートンが推奨したルーマニアのサーバーに接続したところ、ダウンロード速度は9.44Mbps、75%も遅くなってしまいました。アップロードは15.72Mbpsで58%の低下となり、応答時間は14ミリ秒で75%も時間がかかってしまいました。
これはかなり遅いでしょう。インターネットサーフィンするのもやっとでした。VPNに接続前の通信が速くなければ、ネットサーフィンさえできないほど遅くなるはずです。もともと通信が速くない場合、ノートンセキュアVPNに接続すると通信が遅すぎて何もできません。
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ダウンロード速度 |
アップロード速度 |
応答時間 |
VPNに接続していない状態(ルーマニアのブカレストから接続) |
35.37 Mbps |
36.76 Mbps |
8 ミリ秒 |
ノートンの最速のサーバーに接続した状態 |
9.44 Mbps (75%低下) |
15.72 Mbps (58%低下) |
14 ミリ秒 |
ノートンセキュアVPNの近くのサーバーは、ブラウジングや動画の再生におすすめできません。通信がとても遅くなり、接続前の通信速度が速くなければ動画はまったく再生できないでしょうし、普通のブラウジングもままならないでしょう。
遠くのサーバーの通信速度
ノートンセキュアVPNに接続すると、速度が75%低下しました。
ノートンセキュアVPNで遠くのサーバーに接続したところ、近くのサーバーと同じくらい遅いことが分かりました。一般的に、近くのサーバーの方が遠くのサーバーより速い傾向があるのですが、ノートンのVPNの場合、サーバーとの距離は速度に影響しないようです。
まず、アメリカのサーバーを試します。ダウンロード速度は8.87Mbpsで、接続前より75%の低下となりました。アップロード速度は13.50Mbpsで64%の低下で、応答時間は159ミリ秒でした。最悪のパフォーマンスです。このような速度では普通にブラウジングすることもできません。
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ダウンロード速度 |
アップロード速度 |
応答時間 |
VPNに接続していない状態(ルーマニアのブカレストから接続) |
35.37 Mbps |
36.76 Mbps |
8 ミリ秒 |
ノートンのアメリカのサーバーに接続した状態 |
8.87 Mbps (75%低下) |
13.50 Mbps (64%低下) |
159 ミリ秒 |
かなり速度が低下しましたから、普段から通信が遅い場合、ノートンセキュアVPNに接続すると、何もできないほど遅くなってしまうでしょう。
次に、ノートンのイギリスのサーバーに接続してみます。アメリカよりイギリスの方が現在地に近いので、もう少し速いはずです。ダウンロード速度は10.50Mbps、アップロード速度は14.09Mbps、応答時間は51ミリ秒でした。ダウンロード速度が61%低下したのはかなり痛いですね。他社のVPNではここまで遅くなりませんでした。動画を視聴するのはほぼ不可能でしょう。不便ですね。
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ダウンロード速度 |
アップロード速度 |
応答時間 |
VPNに接続していない状態(ルーマニアのブカレストから接続) |
35.37 Mbps |
36.76 Mbps |
8 ミリ秒 |
ノートンのイギリスのサーバーに接続した状態 |
10.50 Mbps (61%低下) |
14.09 Mbps (62%低下) |
51 ミリ秒 |
以上の結果は全世界で一貫していますから、日本でもかなり遅くなるでしょう。
ノートンセキュアVPNは速度が遅いのでおすすめしません。サーバーに接続したところ、大幅に速度が低下してしまいました。通信が速いVPNはたくさんあります, から、加入前に他社サービスをご検討ください。
ノートンセキュアVPNはゲームをプレイできるほど高速ではない
ノートンセキュアVPNはゲームにおすすめしません。近くのサーバーも、海外のサーバーも通信がかなり遅いため、ゲームをプレイするのに十分な高速通信は期待できないからです。
- 帯域:一定の時間で転送したデータの量。
- パケットロス:転送中に失われたデータ量の割合。
- 応答時間・待ち時間:サーバーが応答するまでの時間。
Nvidiaのサーバーからゲームをストリーミングするには少なくとも25Mbps、オンラインゲームの場合は最低でも30Mbps必要です。
近くのサーバーを試したところ、測定値は許容範囲内でしたが、速度がかなり低下したので理想的とは言えません。しかし、帯域は24Mbpsで、パケットロスはなかったため、CS:GOの地図を問題なく読み込むことができました。オンラインゲームをプレイするには40ミリ秒以下であるべきですが、応答時間は52ミリ秒でした。VPNに接続する前の速度が速ければ、ノートンセキュアVPNでもゲームをプレイできるでしょうが、ほとんどの人はそこまで高速ではないはずです。
次に、海外のサーバーを試します。アメリカのサーバーを選択しました。通信は以前よりさらに遅く、ゲームを全くプレイできませんでした。
帯域は24Mbpsで遅く、パケットロスは1.4%でした。サーバーからすべての情報を受信しなかったということです。World of Warcraftをプレイしている時、キャラクターの動作がぎこちなく、地図を完全に読み込むことができませんでした。応答時間は240ミリ秒で、マルチプレイヤーゲームには長すぎます。再接続に時間がかかるのでゲームがなかなか進みません。応答時間が長すぎると、マッチから放り出されるオンラインゲームが多いので注意しましょう。
ノートンセキュアVPNで遠くのサーバーに接続すると、通信が遅すぎてゲームをプレイできません。
ノートンセキュアVPNはゲームにおすすめしません。接続前の通信が50Mbps以上でなければ、通信が遅すぎてマルチプレイヤーゲームを楽しむことはできません。
サーバーネットワーク:サーバー数は少ないが安全
ノートンセキュアVPNは日本を含め60か国に3,000台のサーバーを設置しています。平均的なサーバーネットワークと言えるでしょう。VPNを選ぶ際はサーバー数と国数が多いサービスを選ぶのがポイントです。サーバーが多ければ、現在地に近いサーバーに接続できる確率が高くなり、高速通信が期待できるからです。さらに、1台のサーバーに多数のユーザーが接続して通信が遅くなるという状況も避けられます。
ノートンセキュアVPNでは、接続地点しか選べず、特定のサーバーを選ぶことはできません。これは重大な欠点です。選んだ地点のサーバーに無作為に接続するため、IPアドレスも無作為に割り当てられます。特定の地域限定コンテンツを閲覧したい場合、このような仕組みはかなり不利なのです。例えば、アメリカのNetflixを視聴したい場合を考えてみましょう。一部のIPアドレスがNetflixにブロックされている場合、ブロックされていないサーバーに接続できるまで何度も再接続しなければなりません。
カスタマーサポートに問い合わせて、サーバー数を聞いてみたのですが、その回答は驚くべきものでした。最初に対応してくれたスタッフは質問に答えることができなかったため、別のチームの電話番号を教えてくれました。電話したところ、60か国にサーバーがあるとしか教えてくれなかったのです。サーバー数は教えてくれませんでした。
サポートスタッフはノートンセキュアVPNが何台のサーバーを用意しているか教えてくれませんでした。
ノートンセキュアVPNは比較的多数のサーバーを用意していますが、全世界をカバーしているとは言えません。 より広範囲をカバーしているVPNをお探しの方は、105か国に3,000台のサーバーがあるExpressVPNがおすすめです。
セキュリティ:セキュリティ機能は少ないが、強力
ノートンセキュアVPNは素晴らしいセキュリティ機能を提供していますが、端末によっては利用できない機能もあります。Windowsのノートパソコン、MacBook、Androidのスマホ、iPadで停止スイッチ、スプリットトンネル、Wi-Fiのセキュリティ機能を試してみました。それぞれの機能はきちんと動作したのですが、全端末ですべての機能を使用することはできませんでした。これは非常に不便ですし、多機能とは言えません。
ブラウジング中は安全性を保つことができます。私の個人情報がネットに公開されていないか確認するために DNS・IPアドレスの漏えいが発生していないか数回テストを行いました。DNSとIPアドレスを漏えいするようなVPNは使用する意味がありません。その結果、不審なことは一切ありませんでした。ノートンは一番安全なAES 256ビット暗号化を採用しているので、しっかりセキュリティ対策できます。
評判が良いノートンですから、過去にセキュリティやデータ漏えいなどの事故は発生していません。匿名性を守りたい場合、ノートンセキュアVPNはおすすめですが、安全にブラウジングするだけでなく、トレントをダウンロードしたり、地域制限を回避したりしたい場合は他社サービスをご検討ください。
停止スイッチ
ノートンセキュアVPNは停止スイッチを提供していますが、Androidでしか利用できません。停止スイッチとは、VPNとの接続が途絶えた場合にインターネット通信を遮断して匿名性を守る機能のことです。つまり、ファイルをダウンロード中にVPNの保護が停止した場合、ネット通信が停止します。VPNで保護されていない通信を送受信しなくなるわけです。トレントをダウンロードしたり、公共Wi-Fiを利用したりしている時に便利な機能です。しかし、ノートンセキュアVPNの停止スイッチはAndroidでしか利用できませんから、全端末で最高のセキュリティ対策を実現するとは言えません。
Android端末でノートンセキュアVPNの停止スイッチを試してみました。設定メニューで停止スイッチのチェックボックスをクリックすれば有効になります。素早く有効にできるのは良いでしょう。残念ながら、ノートンセキュアVPNでは、全端末で同じセキュリティ機能を利用できるわけではないため、データを確実に非公開にすることはできません。
スプリットトンネル
ノートンセキュアVPNのスプリットトンネルはWindows限定の機能です。スプリットトンネルとは、特定のアプリやサイトの通信だけをVPNに経由させる機能です。それ以外の通信は普段通りのネットワークで送受信することになります。トレントクライアントやブラウザの通信だけをVPNに経由させたい場合に便利です。
この機能を試すため、Windowsのノートパソコンでブラウザ以外の通信をVPNに経由させる設定にしました。この機能を試す一番簡単な方法だったからです。IPアドレスの漏えいテストとNvidiaの接続テストを行ったところ、合格となりました。Nvidia GeForce Nowの通信はVPNトンネルを経由しましたが、ブラウザの通信はそのままとなり、スプリットトンネルが正常に動作したことが分かりました。
WiFiのセキュリティ対策
Wi-Fiのセキュリティ機能では、ホームネットワークのセキュリティに関する情報を確認できます。自宅のネットワークでは警告が表示されませんでしたが、保護されていないモバイルホットスポットに接続すると警告が表示されました。
MacBookで利用できたら嬉しい機能です。カフェで仕事をすることが多い場合、ネットワークの安全性を確認したいですよね。しかし残念ながら、この機能はモバイル限定です。
暗号化・プロトコル
ノートンセキュアVPNはAES 256ビット暗号化でデータを保護しています。これは銀行も採用している暗号化であり、安全性が最も高いことが知られています。パソコンでデータを送受信する時、データは特別な暗号化キーで暗号化されます。そのデータを復号化するには同じ暗号化キーを使用する必要があります。暗号化キーがなければスーパーコンピュータでも解読に数千年かかるため、ハッキング対策になります。
プロトコルに関して、ノートンセキュアVPNはOpenVPNとL2TP/IPSecを採用しています。WireGuardやIKEv2など、他の主要なプロトコルを利用できないのは残念ですが、OpenVPNは業界標準で、最も柔軟性が高いプロトコルですから、良いでしょう。暗号化は256ビットで、UDPとTCPモードを選択できます。TCPはすべてのファイルの整合性を確認するため、やや遅いのに対して、UDPは速めです。さらに、OpenVPNは世界中のデベロッパーが改善を続けているプロトコルでもあります。ただし、OpenVPNを利用できるのはノートンセキュアVPNのWindows、macOS、Androidアプリだけです。
iOSアプリではOpenVPNよりやや遅めのL2TP/IPSecが使用されています。iOSでも256ビット暗号化を採用しているので、暗号化されている情報を他人に解読されることはありません。L2TP/IPSecは構成がOpenVPNより複雑なので、故障しやすいという特徴があり、OpenVPNほど安全ではありません。
それでも、ブラウジング中に安全性を確保できますから、情報を盗聴される心配はありません。
ノートンセキュアVPNはIPアドレスとDNSの漏えいテストに合格
ノートンセキュアVPNのサーバーに接続したところ、DNSやIPアドレスの漏れは検出されませんでした。漏えいテストを行うと、個人情報がネットに流出していないか確認できます。VPNを使用する目的は、IPアドレスと位置情報を隠し、ネットワークからのIPv6リクエストをブロックすることですから、このテストはとても重要です。
使用中のブラウザと設定にもよりますが、VPNに接続してもIPアドレスが公開されている場合があるので注意が必要です。さらに、IPv6をブロックできないVPNもあり、そうなると機密データをきちんと保護できているとは言えません。
まず、ノートンセキュアVPNのアメリカのサーバーに接続しipleak.netでデータ漏えいをチェックしました。その結果、情報漏えいは検出されず、IPv6もきちんとブロックされていました。個人情報をしっかり隠せています。
ノートンセキュアVPNはすべての漏えいテストに合格しました。
さらに、オランダ、イギリス、ドイツのサーバーにも接続して漏えいテストを行ったのですが、すべて合格でした。ノートンのセキュリティ対策には感心しました。ただ、全アプリで停止スイッチを利用できないのは残念です。VPNの接続トラブルがあった時に情報漏えいの恐れがあります。
ノートンセキュアVPNが提供するセキュリティ機能は素晴らしいと思いますが、全端末ですべての機能を利用できないのは非常に不便です。信頼できるサービスでも、端末によっては重要なセキュリティ機能が利用できません。スプリットトンネルと停止スイッチは一部の端末でしか利用できませんから、100%保護できるとは言えないのです。全端末で全機能を利用できるVPNの方が安全性が高く、他社サービスだと追加機能もあるのでセキュリティ強化に役立ちます。
プライバシー保護:通信を匿名化するのに十分な機能あり
ノートンセキュアVPNは、サービスの提供に必要なユーザーデータしか記録しませんが、プライバシー方針には抜けが見つかりました。どのような情報を収集しているか調べるため、長文のプライバシー方針を最初から最後まで読んだのですが、あいまいな部分があったのです。プライバシー方針はノートンの全サービスで共通しているため、本当に機密情報を収集していないとは言い切れません。最大の問題は、ノートンの本社はアメリカにあるため、ユーザーデータを記録し、政府と共有する義務があるかもしれないことでしょう。さらに、データの共有に関して明白に書かれていませんでした。
サーバーの設置箇所
ノートンはアメリカに本社を置いています。ファイブアイズ(UKUSA協定)で中心的な国ですね。アメリカ政府はノートンにユーザーデータの収集を義務付けることができますから、ユーザーとしては心配です。
ユーザーのプライバシーを100%守るには、厳格なログなし方針が必要です。IPアドレス、メールアドレス、端末、位置情報など、個人を特定できる情報を一切記録しないことを約束しているべきなのです。
ノートンセキュアVPNはログを記録している
ノートンはセキュリティソフトの機能の1つとしてVPNを提供していますが、プライバシー方針は全サービスで共通しています。プライバシー方針を読んだところ、7種類の情報を収集していることが分かりました。
- メンバー情報
ユーザーの氏名、メールアドレス、電話番号、住所など、連絡先情報が収集され、クレジットカードなどの決済データ、購入履歴、提出したその他の文書も含まれます。これらの情報は顧客管理のために使用されます。
- 管理データ
業務記録のためにライセンスキー、ノートンが生成したID、端末IDなどのデータが収集されます。
- サービス提供に関するデータ
端末モデル、ブラウザの種類、システムに関する情報、IPアドレス、OS、ネットワークの種類などが収集されます。製品やサービスを提供するためです。
- セキュリティに関するデータ
詐欺やなりすましから顧客を守るためです。支払いデータや位置情報のほか、診断、使用状況、設定などの情報、サードパーティのデータが含まれます。
- 診断情報
システムのトラブルシューティングに必要なすべてのデータが含まれます。ノートンとのやり取りや、直接送信したクラッシュレポートはすべて記録されます。
- 使用や設定に関する情報
マーケティングのため、クッキーやソフトウェアの設定が記録されます。
- サードパーティデータ
受信した悪質なメールをノートンがスキャンした場合、送信者のIPアドレスとメールアドレスが記録されます。
接続したサーバーやネットの利用状況は追跡されませんが、ユーザーのIPアドレスと位置情報を記録されるのは理想的とは言えません。さらに、情報の引き渡しに関して明記されていないのも不安です。明白なログなし方針を打ち出し、外部審査も受けているVPNはたくさんあります。
広告・トラッキングのブロッカー
VPNの他にも、広告・トラッカーのブロッカー機能も利用できると掲載されています。しかし、ネットの利用状況についてどのような情報を記録しているのかカスタマーサポートに質問したところ、広告ブロッカーはないと言われました。Ad Tracker(広告トラッカー)しかないそうです。この機能はVPNに内蔵されており、必要に応じてオン・オフを切り替えられます。ノートンを試用中は常にオンにしておきました。確かに多数の広告トラッカーを検出できたのですが、すべてブロックしたわけではありません。試しに、宣伝が多いことで有名なforbes.comにアクセスしてみました。広告はいくつか表示されましたが、うっとうしいポップアップは表示されませんでした。
ノートンセキュアVPNはアプリに広告トラッカーを搭載しています。
ノートンのサポートスタッフによると、広告トラッカーはユーザーや利用状況に関する情報は一切記録せず、サイトによるブラウザの追跡を防止できるそうです。
セキュアVPN
パソコンの電源を入れた時に自動でVPNを開始することができます。常に通信を保護すべきですから、自動でVPNに接続できるのは便利でしょう。
トレント:P2Pを許可していない
ノートンはトレントを一切許可していないと明記しています。さらに、トレント通信を検出するとVPNが止まってしまいます。Transmissionというトレントソフトを開いたところ、ノートンセキュアVPNのエラーが表示され、接続が途絶えてしまいました。
トレントソフトを開いたところ、VPNとの接続が終了してしまいました。
トレントをダウンロードできるVPNが欲しい場合、ノートンセキュアVPNは不適切です。トレントに対応しているVPNはたくさんありますトレント専用サーバーを提供しているサービスもあります。
ノートンセキュアVPNは中国で利用できない
ノートンセキュアVPNは中国では一切利用できず、中国国内にサーバーは用意されていません。ノートンのカスタマーサポートにこの件について確認してみたところ、中国では利用できないと教えてくれました。
ノートンのカスタマーサポートによると、中国ではVPNが正常に動作しないそうです。
驚きではありません。ノートンのVPNは地域制限を回避することを目的としたものではなく、VPNの使用が合法な国で位置情報を隠すためのサービスなのです。中国で利用できるVPNをお探しの方はこちらをご覧ください。
インストール・アプリ
8.0
ノートンセキュアVPNのアプリはとても使いやすいでしょう。しかし、ノートン360をインストールするのは時間がかかります。
ノートン360のインストールが完了したら、すべての権限を付与し、構成が完了するのを待つ必要があります。VPNサーバーに接続するまで少なくとも30分かかりました。
セットアップが完了すると、10秒以下でサーバーを切り替えられます。「バーチャルロケーション」を開き、サーバーを選択するだけです。また、「セキュアVPN」で「仮想プライベートネットワーク」ボタンをクリックすると閉じることができます。
ノートンセキュアVPNのアプリは使いやすい設計です。
ノートンセキュアVPNの追加機能:ノートン360に加入すると他に4種類のアプリが利用できる
ノートン360ではVPN以外に以下の4種類のアプリが利用できます。
- デバイスセキュリティ
ノートンのウイルス対策機能で、この機能を利用しなければ、他のアプリも利用できません。
- ダークウェブのモニタリング
これは最も興味深いサービスでしょう。個人情報がディープウェブに漏えいしていないか確認してもらえます。ただし、ノートンから通知を受け取るには氏名、電話番号、メールアドレス、クレジットカード情報、銀行口座番号、運転免許証、保険証、ゲーマータグなどの情報を提供しなければなりません。手動でセットアップする必要があります。
- パスワードマネージャー
これは分かりやすいですね。すべてのパスワードを安全なボルト(保管庫)に保存しておくことができます。
- クラウドバックアップ
ノートンに加入すると10GBのクラウドストレージを利用でき、契約が有効であればずっとアクセスできます。
私はこのような追加サービスは必要ないため、ノートン360はディスク領域の無駄としか思えませんでした。VPNは軽量で簡単にセットアップできるべきでしょう。ノートン360はVPN以外の機能が多く、必要なサービスだけ加入することはできません。CyberGhostは必要に応じてアドオン機能を追加できるのでおすすめです。
同時に接続できる端末数:3台までノートンVPNに接続できる
ノートンセキュアVPNは1つの契約につき10台または3台の端末を接続できます。一番安いプランを選んだ場合、端末を切り替えることもできますが、かなり面倒です。
対応端末:Windows、Android、macOS、iOSでしか利用できない
ノートンセキュアVPNはWindows、macOS、Android、iOSアプリしかなく、端末によっては一部の機能が利用できません。Linux、Chromebook、スマートテレビ、Amazonファイアスティックのほか、プレイステーションやXboxなどのゲーム機には対応していません。
デスクトップアプリ
デスクトップアプリは利用できる機能が一番少ないのが欠点です。ノートンの全4アプリが利用できますが、停止スイッチやWi-Fiのセキュリティ対策機能は利用できないのです。さらに、スプリットトンネルはWindows限定の機能です。
MacBookでノートンセキュアVPNを試したのですが、全体的にとても使いやすいと思いました。前述の通り、セットアップはかなり時間がかかりますが。直感的に使いこなせるデザインで、ほんの数秒でVPNサーバーに接続できました。しかし、停止スイッチとスプリットトンネルが利用できればさらに良いと思います。
iOS、Androidアプリ
ノートンのAndroidアプリは利用できる機能が一番多く、iOSでは一部の機能が利用できません。Androidの場合、停止スイッチとWi-Fiのセキュリティ機能が利用できますが、iOSはWi-Fiのセキュリティ機能しか搭載していません。AndroidのスマホとiPadでアプリを試したのですが、快適な利用体験でした。モバイルでは他のアプリをインストールする必要はありません。AndroidとiOSではノートンセキュアVPNのアプリを単独でインストールできます。
モバイルアプリは使いやすく、セットアップもパソコンほど複雑ではありません。モバイルアプリは日本語を含め、多言語で表示できます。
インストール:セットアップに30分もかかる
ノートンセキュアVPNはインストールに最も時間がかかるVPNの1つです。ファイルをダウンロードした後、ノートン360をインストールするだけでも約10分かかります。また、最後にパソコンを再起動しなくてはなりません。
インストール後、パソコンを起動したときにノートンは自動で開始しません。最後まで自動的にインストールできるわけではないのです。VPNを利用し始めるには、ノートン360を開いて権限を付与する必要があります。権限を付与するのも5分かかり、今度は次のステップを準備しなければなりませんでした。
VPNを使用する前にノートンはシステムのフルスキャンを行う必要があります。フルスキャンが完了するまでノートンセキュアVPNはグレー表示になっているので使用できません。パソコン上のファイル数とシステムの処理速度にもよりますが、システムスキャンは最短で10分、長くて10時間かかります。私はパソコンにファイルをほとんど保存していないので、スキャンは約10分で完了しました。
インストールとセットアップにかなり時間がかかりましたが、ようやくノートンセキュアVPNを利用できるようになりました。VPNサーバーに接続するまで30分もかかったのです。調査のためでなければ途中で諦めて、他のVPNを選んだと思います。
ノートンセキュアVPNのセットアップ方法【5つの手順で簡単】
- アカウントを登録し、ソフトウェアをダウンロードします。アカウント登録するまでダウンロードできません。
ノートンセキュアVPNはホームページからダウンロードできます。
- ノートン360をインストールします。ノートンセキュアVPNはノートン360の一環として提供されていますから、ノートン360をインストールする必要があります。インストール作業は時間がかかり、完了したらパソコンを再起動しなければなりません。
ノートンセキュアVPNをインストールするのは簡単です。
- アカウントにログインし、接続します。サービスを利用するには、有効な契約が必要です。ログインしたら、ノートンのサーバーに接続するのを待ち、必要な権限を付与しましょう。
ノートンセキュアVPNにログインするのは簡単です。
- ノートン360からVPNを起動します。ノートンセキュアVPNの隣にある「オン」ボタンをクリックします。
ノートン360のメニューからノートンセキュアVPNを開きます。
- 任意の地点に接続しましょう。お好きな仮想地点をクリックすると、数秒で接続できます。
ワンクリックで即座にVPNサーバーに接続できます。
インストールが完了すれば、ノートンセキュアVPNはとても使いやすいサービスでしょう。サーバーに接続するだけで自由にブラウジングできます。